健康診断あるある

健康診断当日。

朝から、提出すべき便が出ない。

体は起きている。目も覚めている。

コップ一杯の水も飲んだし、いつもの朝と手順は何一つ違わない。それなのに、肝心なものだけが、体の奥で沈黙を決め込んでいる。トイレに座り、しばらく待つ。

スマートフォンを触るでもなく、ただ壁の一点を眺める。時間だけが、やけに丁寧に進んでいく。そう心の中で言い訳をするほど、体は頑なになる気がした。出なければならない、という義務が、かえって出口を塞いでいる。

わずかに、気配だけはある。遠くでドアがきしむような、そんな微かな予兆。だがそれは、外へ出てくるほどの決意を持たない。

今だ!ついに私は、検査キットを手に取る。

本来あるべき手順を飛び越え、直接迎えに行くという、禁忌犯す。しかし願いは叶わない。体は最後まで沈黙を守り、時間だけが容赦なく迫ってくる。やがて、諦めの瞬間が訪れる。